建築設計を業として働く者の多くは、自らの住む街を少しでも美しく、また、人々の生活環境を少しでも良くしようと、夢を持ち、日々格闘しています。しかしながら、建物が実現するためには依頼者からの依頼がなくては設計業務は成り立ちません。いくら良い建物の設計をして、世の中を良くしようと思っても、それを実現するためには、依頼者からの依頼を受けてはじめてスタートします。建物の設計を進めるうえでは依頼者の考え、要望は最優先です。依頼者からの要望を99%考慮しながら残り1%に設計者としての自分の考えや社会に対する責任を反映する訳です、しかし、時には、その1%の提案が99%を支配する場合もあります。その1%の提案が大きな意味を持ち実現するためには、他の職業のように机上での勉強では依頼者を説得できません。音楽や絵画のセンス、光や水といった自然、空間感覚、五感に訴える手法を習得すことも必要なことです。それが習得できて、はじめて依頼者の了解を得て夢を叶えることができます。建築は理論でなく実践しなければ意味をなしません。世の中はAI、6Gと文明は日々進歩をとげています。これから建築設計を行うにあたっては、目まぐるしく進歩する文明と、敬意を払われて然るべき文化を包含しながら設計をおこないたいと思っています。建築物は概ね60年でその役割を終えます、少しでも社会に必要とされる、価値のある建物をこれからも設計したいと考えています。